日本共産党第29回大会の決議について

大阪唯物論研究会会員 川 下 了 【はじめに】 1月15日から18日の4日間、日本共産党が4年ぶりに党大会を開催しました。党員数が公称25万人である日本共産党は、発達した資本主義国において共産主義政党を名乗る諸党の中では、最も大きい党の一つに数…

《新刊紹介》『未明の砦』

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 『未明の砦』 太田 愛 角川書店 609頁 2023年7月31日 刊行 ¥2860 1月26日、第26回大藪春彦賞受賞作品。 少し古くなるが、ぜひ勧めたい書の1冊である。陸奥新報など11の地方紙に2021年4月から2023年…

《新刊紹介》『万国の労働者、団結せよ! マルクスと第一インターナショナルの闘い』他

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 推薦強度Aランク 「万国の労働者、団結せよ! マルクスと第一インターナショナルの闘い」マルチェロ・ムスト 著 結城剛志 監訳大月書店 434頁2023年10月18日 刊 ¥4,840 著者の既刊邦訳書は、「アフターマルク…

《新刊紹介》『暗い時代の人々』他3冊

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 今回は推薦順位A・Bランクがないので少し躊躇しましたが、それなりに読みどころがあるので、紹介することにしました。 推薦強度Cランク 『暗い時代の人々』 森 まゆみ 朝日文庫 350頁2023年9月30日 刊 ¥1,034初…

関東大震災100周年 ―― そこから何を学ぶべきか ―― (補 遺 その2)

大阪唯物論研究会会員 岩 本 勲 デマをトップ記事で報じる1923年9月3日付の東京日日新聞 8月初旬に、「関東大震災100周年 —— そこから何を学ぶべきか —— というタイトルで小冊子を発行した。その後に映画『福田村事件』の公開があり、また主要マスメディ…

《新刊紹介》「関東大震災100年」の続きとして新刊2冊

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 推薦強度Aランク 1. Q&A関東大震災100年朝鮮人虐殺問題を考える 朝鮮大学校朝鮮問題研究センター在日朝鮮人関係資料室 編 八月書館 79頁 2023年9月1日 刊 ¥990 関東大震災と朝鮮人虐殺を考える上で、必要な論…

《新刊紹介》昭和天皇と戦争問題を問う新刊書2冊

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 推薦強度Bランク 昭和天皇の戦争認識 「拝謁記」を中心に山田 朗 新日本出版社 226頁2023年7月7日 刊 ¥1,870 初代宮内庁長官・田島道治の「昭和天皇拝謁記」【全7巻】(岩波書店2021~2023)を踏まえて…

《新刊紹介》「関東大震災と朝鮮人虐殺」関連の新刊書

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 今回は、「関東大震災と朝鮮人虐殺」関連の新刊書で、既読書を紹介します。ややマニヤックなものになりましたが、これ以外にもアマゾンで取り扱っていない数点は、書店注文で未入手です。入手してから読了後、紹介します。ま…

関東大震災100周年 ―そこから何を学ぶべきか― 補遺(その1)

大阪唯物論研究会会員 岩 本 勲 標題の拙稿を脱稿して後、関東大震災に関する多くの文献・資料が新しく発行され、加えて映画「福田村事件」が上映された。これらのすべてに言及することは、筆者の能力を遥かに超すことなので、少なくとも筆者が接した新たな…

『宇宙創造に関する標準モデル』(ビッグバン宇宙論)への疑問

—— 唯物論的宇宙観の確立のために —— 大阪唯物論研究会会員 兵庫正雄 Wikipediaに掲載されている『宇宙発展の模式図』 出処:(宇宙の年表 - Wikipedia) 【はじめに】 本稿では、宇宙創造に関する標準モデル、すなわち一般には「ビッグバン理論」と呼ばれてい…

《新刊紹介》羊の怒る時 関東大震災の三日間

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 + 今回は、この一冊! 羊の怒る時 関東大震災の三日間 江馬修 著ちくま文庫 2023年8月10日発行 ¥924 関東大震災時の実体験をもとにした朝鮮人虐殺を告発すると同時に、自戒の念をも込めたドキュメンタリー小説。 1…

関東大震災100周年

—— そこから何を学ぶべきか —— 大阪唯物論研究会会員 岩 本 勲 まもなく9月1日がやってくる。この日は「防災の日」とされており、政府や地方自治体では、種々の防災行事を予定している。「防災の日」とされる所以は、「明治維新」(1868年)以降の日本の地震…

『チェルノブイリ並み被ばくで多発する福島甲状腺がん 線量過少評価で墓穴をほったUNSCEAR 報告』

大阪唯物論研究会会員 城 崎 肇 さる3月31日、「福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会」が、表題の書籍を「耕文社」から世に出した。東京電力福島第一原子力発電所の事故から12年が経過した。あたかも福島原発事故などなかったかのように、…

ギリシャ総選挙2023

大阪唯物論研究会会員 川 下 了 選挙の日の夜のKKE選挙総括集会で、国会前広場(シンタグマ広場)を埋め尽くしたKKEの党員と支持者たち。中央奥の建物が国会議事堂 さる6月25日、ギリシャで国会(定数300名。一院制。任期4年)のやり直し総選挙が実施…

《新刊紹介》イチ押しは『福田村事件』

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 今回は、以下の4つの作品を紹介します。イチ押しは、1番の『福田村事件』です。前回『鶴彬』を紹介しましたが、「初見」との声があったので、佐高信(さたかまこと)の参考文献に未収録の文献から幾つかを紹介します。 1.…

広島を辱め、失敗に終わった「G7広島サミット」

―――――――――――――――――――――― 白日の下にさらされた西側帝国主義の歴史的凋落―――――――――――――――――――――― 大阪唯物論研究会会員 岩 本 勲 G7サミットは、「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」と銘打ちながら、その中身は核軍縮なく「核抑止論」とG7側の核武装を正当…

《新刊紹介》イチ押しは『反戦川柳人 鶴彬の獄死』

大阪唯物論研究会会員 倉島伝治 できれば今後このブログを通して、共産主義や民主主義の徹底に関心を持つ方を対象に、定期的な新刊紹介を行っていきたいと思っています。 今回は、以下の6つの作品を紹介します。イチ押しは、5番の『反戦川柳人 鶴彬(つる…

ギリシャ総選挙(2023/5)短評

大阪唯物論研究会会員 川 下 了 さる5月21日、ギリシャで国会議員総選挙(定数300名。一院制。任期4年)が行われました。ギリシャは、人口1,064万人、国土面積約13万Km2(わが国の約1/3)、GDP2,148億ドル(世界52位/2021年)の…

国際共産主義運動研究(1)

大阪唯物論研究会会員 川 下 了 2022年2月24日、ロシアがウクライナに対する特別軍事作戦を開始し、世界を震撼させました。しかしそのこと自体が、現代世界の歪んだ認識の表現でもありました。何故なら、独立主権国家に対する列国の軍事侵攻は、今に…

グローバルサウスの盟主を目指すインド

大阪唯物論研究会会員 岩 本 勲 はじめに 世界政治経済は、アメリカ帝国主義の中東における歴史的な政治的・軍事的敗北やウクライナ戦争に関する国連総会決議に象徴的に表明される如く、深刻な地殻変動に見舞われている。それは、嘗てのソ連を中心とする社会…

ブログでの活動再開にあたって

およそ3年間にわたって、当ブログは休眠状態にありました。時期的にはCOVID-19の蔓延と重なります。そのことも休眠の一要因ではありましたが、主としては執筆陣の個人的事情に依るものです。それらの事情は根本的に解決したわけではありませんが、何とか活…

検察官の定年延長法案を廃案に

政権の検察私物化を企図する検察官の定年延長法案を廃案に―― 安倍首相は責任を取り即刻辞任せよ ―― 岩 本 勲 検察は、まぎれもなく人民抑圧機関である。支配階級の利益を代弁し、人民を拘留して起訴し、有罪に導くことによってその「罪」を罰し、人民をして…

コロナ事態に対する85の共産党・労働者党の声明

新型コロナウイルス(Covod-19)のパンデミックは、”人類の生存”という喫緊かつ最重要の人類的課題を提起し、その速やかな解決を要求しているが、その被害は決して万人に”平等”に及んでいるわけではない。その被害は、何よりも貧しい人々、被搾取階級の人々…

【書評】 AIには何ができないか ―― データジャーナリストが現場で考える

AI

兵庫正雄 本書の著者は、メレディス・ブルサード(Meredith Broussard)。アメリカのデータジャーナリスト。現在、ニューヨーク大学アーサー・L・カーター・ジャーナリズム研究所准教授。原題は、Artificial Unintelligence:How Computers Misunderstand th…

虚構の「昭和天皇平和主義者論」 ―― 田島道治・初代宮内庁長官『拝謁記』を読み解く ――

岩 本 勲 NHKテレビは2019年8月、田島道治(みちじ)・初代宮内庁長官(在職1949~53年)の『拝謁(ハイエツ)記』の要点を放送し、同時に『拝謁記』の一部を諸メディアに公開した。新聞紙上では「拝謁記 驚きを隠せず」(「毎日新聞」2019.8.20)、「戦争 反省と後…

『令和』と天皇制

岩 本 勲 「『令和」』『万葉集』典拠、初の国書」(『朝日新聞』)、「『令和』新時代を象徴」(『日本経済新聞』)などの大見出しが4月2日の各紙上で一斉に踊り、「街で歓声、商機に熱気」(『毎日新聞』)と囃したてた。中西進氏に年号原案を特別注文した安部…

日本帝国主義と昭和天皇の戦争責任を改めて問う ―― 東京裁判(極東国際軍事裁判)の再読

岩本 勲 はじめに 安倍内閣は依然として、改憲を執拗に追及している。いうまでもなく、その眼目は第9条の文字通りの「有名無実化」である。改憲論者の主張の中心環の一つは、周知のとおり、歴史修正主義つまり「大東亜戦争」は自衛戦争であり、「八紘一宇」…

【書評】――『人工知能はなぜ椅子に座れないか』――                              情報化社会における『知』と『生命』 (松田雄馬著 新潮選書)

AI

兵庫正雄 「人工知能が人間の知能を超える地点」とされるシンギュラリティが到来すると叫ばれて久しい。今も本屋の店頭には実に多くの著者による『AI関連本』が山と積まれている。その大半は、『AI万能論』と呼ぶべきものである。著者たちの主観的意図は別に…

―― 韓国大法院(最高裁)「徴用工判決」判決 ―― 核心は日本帝国主義の朝鮮植民地支配の不当性(続編)

岩 本 勲 韓国最高裁「判決」の政治的歴史的意義については、本ブログの川下論文において基本的なことは既に述べられている。本稿は、「判決」の意義を主として法的側面から取り上げる。11月29日には、三菱重工業に対する元徴用工の賠償請求に対する最高裁小…

韓国大法院(最高裁)「徴用工」判決 ―― 核心は日本帝国主義の朝鮮植民地支配の不当性

川下 了 至極当然な韓国大法院の判決 日本の最高裁に当たる韓国の大法院が、去る10月30日、全員合議体(日本の大法廷に相当)を開き、旧日本製鉄の「徴用工」であった原告らに対して、新日鉄住金(旧日本製鉄の後継企業)は被害者に1千万円ずつ賠償するよう…