中国の社会主義市場経済とマルクス主義 (要約)

                                岩本 勲
 
 本稿は、ある研究会で著者が報告した時のレジュメに、少し手を加えたものである。その報告の基になった著者の拙文「中国の社会主義市場経済とマルクス主義」は、PDFファイルで本ブログに公開しているので、併せてご覧頂ければ幸いである。

0. はじめに 

 近年、国際社会における中国の比重が急速に高まっていることは何人も否定できないであろう。GDPは米国に次いで世界第2位に昇り、米国を追い抜くのも時間の問題とも言われている。経済的影響力の増大に伴って、政治的、軍事的影響力も増大している。
 そこで中国をめぐる議論が騒がしい。ある者は、「習近平指導部は社会主義回帰を強めている」と声高に叫んでいる。帝国主義列強の政権担当者やそのブレーンたちだ。彼らは、習近平指導部が経済における戦略分野を民営化せず、反対にこの分野において国営並びに準国営を強めていることに強い不安と不満を表明している。
 中国の資本主義化に疑問と不安を抱いてきた諸勢力の間には、最近の中国の動向を「社会主義への回帰」だとして歓迎を表明する人々がいる。帝国主義勢力とは反対の立場にあるのだが、最近の中国についての認識については奇妙な一致が見られる。

 そこで問題は、今日の中国は社会主義なのか、資本主義なのか、はたまたその中間的存在であるのかという点に、あるいは社会主義とは何かという点にあるだろう。

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ブログ『唯物史観』を開設するにあたって

 「共産主義」と「マルクス主義」という2語が、人々の意識から遠ざかって4半世紀が経ちました。1989年にベルリンの壁が崩壊し、1991年にはソ同盟(ソ連邦)が解体したことによって、「資本主義と社会主義の対決は資本主義の勝利に終わり、共産主義とマルクス主義もまた終わった」と多くの人が思わされるか、あるいは思っているようです。


 国際共産主義運動においても、少なからぬ共産党・労働者党がマルクス主義政党から社会民主主義政党に移行し、党名も変更しました。日本共産党のように「共産党」という党名を残しつつも内実は社会民主主義政党になった党もあります。また、ユーロ・コミュニズムの諸党も同様です。


 アメリカを先頭とする帝国主義諸国が、社会主義諸国の転覆活動に膨大な人と資金をつぎ込んだという事実を忘れることは出来ませんが、存在した社会主義諸国が崩壊したのは、存在した社会主義諸国に滅びる弱点が存在したからです。マルクスは、「プロレタリア革命は、たえず自分自身を批判し、進みながらもたえず立ち止まり、すでになしとげられたと思えたものにたちもどってっては、もう一度新しいくやりなおし、自分がはじめにやった試みの中途半端な点、弱い点、けちくさい点を、情け容赦もなく、徹底的に嘲笑する。・・・この革命は、自分の立てた目的が防爆として巨大なことに驚いて、たえずくりかえし尻込みするが、ついに絶対にあともどりできない情勢がつくりだされ、諸関係自身がこう叫ぶようになる。ここがロドス島だ。ここで跳べ!」(『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』マル・エン全集8巻111頁)と述べて、社会主義革命は何度も失敗を重ね、少しでも誤りがあれば一からやり直すことになると指摘しています。21世紀の社会主義は、20世紀に存在した社会主義の徹底した批判を通じてのみ可能となります。


 ところで今日、資本主義社会もまた断末魔のうめき声を上げています。トランプ大統領の言動は、アメリカ帝国主義がかつてない異常極まりない危機の中にあることの象徴であり、安倍内閣と霞が関の破廉恥極まりない愚行の連続は、日本帝国主義もまたかつてない異常極まりない危機の中にあることを示しています。欧州の帝国主義諸国も同様です。


 このブログは、マルクス主義とその世界観である弁証法的唯物論の正しさに確信を持つ者たちが、国内外の出来事を解明し、到達した諸科学の成果を踏まえて唯物論的世界観を豊富化する作業をネット空間に公表し、その内容を世に問おうとするものです。
最後に、私たちもマルクスに倣って、次の言葉を掲げたいと思います。


 およそ科学的批判による判断ならば、すべて私たちは歓迎する。私たちがかつて譲歩したことのない世論と称するものの先入見にたいしては、あの偉大なフィレンツェ人の標語が、常に変わることのなく、私たちのそれでもある。
 汝の道をゆけ、そして人にはその言うにまかせよ!

 マルクス生誕200周年 2018年7月

「10月社会主義大革命の100年についての ギリシャ共産党(KKE)中央委員会の声明」

                                川 下 了

 この文書は、ギリシャ共産党中央委員会が発表した「10月社会主義革命の100年についての声明」について、研究会で筆者が報告した際のレジュメです。報告本文はPDFファイルで本ブログで公開しています。

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